【設立総会でいただいたメッセージを再び】

  早いもので去年の設立総会から一年余りが過ぎようとしています。
 この一年の間に、松田会長、大藤事務局長以下、運営委員の皆様と様々な経験をして参りました。
 全国に先達のあることとは言え、愛媛独自の医療環境に即した活動を展開していくための具体的
 行動目標を求めて、運営委員の皆様とどれだけ意見を交わしたことでしょう。
 正会員や後援会員の皆様のご支援をいただきながら、遠方であることが災いしてか思うように
 「いこいの家」の利用が進まないこともあり、折角サポーターとして登録いただいている方々へ
 具体的にお願いする用件もなく、気持ちを焦らせたのは私ばかりではないことと思います。

そのような中でも滞在施設にかける運営委員の思いは強く、県立中
央病院の間近にウィクリーマンションを借りて「セカンドハウス」として
6ヵ月間、運営いたしました。
資金の関係もあり現在は休止しておりますが、家族が病棟で付き添
うことができないNICU(新生児集中治療室)や骨髄移植の患者さん
の家族を中心に利用がありました。
運営委員のほとんどが仕事をもっているか学生であり、思うように時
間がとれない中、力を合わせた結果がこの活動報告に集約されてい
ます。反省も多々ありますが、決して諦めない(それは、あきれるほ
どです)大藤事務局長、日々の事務作業を地道に続けて下さった大
森さんたち、宇和島支部(本部?)といわれるほどの活動をされてい
る今井さん、あげればきりがありませんが、多くの運営委員の尽力に
免じてお許し下さい。

 特に、当初から滞在施設の運営と並んで大きな目標として掲げていた、難病をもつ子どもや家族の
 交流・情報提供のためのネットワークづくりに関しては、全く実績を残せませんでした。今後の大
 きな課題でありますが、一年前の設立総会における来賓のメッセージや記念講演のなかにも、その
 ような活動への期待やアドバイスが述べられています。いま、ここでもう一度振り返って、これか
 らの活動のヒントにして行きたいと思います。(県立南宇和病院小児科の宮崎さんの御尽力で、設
 立総会のビデオ録音を文章に起こして頂いたものを参考にしました。)

 設立総会では来賓として、設立に際して御指導いただいた愛媛県保健福祉部健康増進課の新旧
 両課長から御祝辞をいただきました。
 現課長の三木氏は、先般開かれた小児膠原病の専門家を中心とした医療相談会を通して、行政と
 して小児慢性特定疾患を対象とした親御さんの勉強会や交流会などの場を提供することの大切さを
 実感されたとのことで、私たちの活動へも力強いエールを送って下さいました。
 前任の櫃本氏は、愛媛ファミリーハウスをつくる会の「つくる」が平仮名であることに触れられ、単に
 滞在施設を「作る」ことが目的の会ではないだろうと期待を込めて指摘されました。
 そして、家族の人たちや一般の人たちのみならず、医療関係者も協力して福祉の分野に取り組もう
 としている私たちの会が、究極的には広く育児支援の原動力となって欲しいとのメッセージをいただ
 きました。

 がんの子供を守る会のソーシャルワーカーの近藤博子氏には、はるばる東京からお越しいただき、
 文字どおり記念すべき講演をいただきました。
 講演の前半では、がんの子供を守る会の歴史や事業内容についての説明から始まって、実際に
 ソーシャルワーカー(3名)として現在、どのような活動をされているか、具体的な相談内容の内訳を
 含めて詳細にお話下さいました。設立当初の昭和43年に、ある生命会社の会長の親族の子供さん
 が小児がんで亡くなり、10年間で10億円の寄付をされ、それが財団の財源となった話や、当時、
 小児がんは殆ど助からない時代であったため治療研究に大きな重点をおいていたが、多くが助かる
 ようになった今こそグリーフワーク(親しい人を亡くした人が、その喪失感から立ち直って行く過程を
 支援すること)が大切であるというご指摘が心に残っております。
 また、親の会として昭和48年からソーシャルワーカーがつき、より患者・家族に近いところでワーカー
 事業に取り組めるというメリットを最大限に活かしておられるのが印象的でした。

 講演の後半では、そのようなご経験から、ソーシャルワーカーの仕事とは何か、一般のボランティア
 とソーシャルワーカーとの共通点や違いは何か、一般のボランティア活動に際し気をつけて欲しい点
 は何かについて、以下のような、とても大切なメッセージをいただきました。
 『医療ソーシャルワーカーの仕事は、疾病と直接・間接的に関連して生じた患者や家族の心理的・社
 会的問題の解決を援助することであって、代わりに解決することでは決してないし、その人に代わっ
 て解決などできない。人を支援するということは、その人自身に解決する能力があることを基本的に
 信じて寄り添い、解決の糸口をともに探ることである。そういう意味では、ソーシャルワーカーもボラン
 ティアも同じであるべきである。
 
 ただ、特に同じ経験をした親御さんがボランティアになると、あなたの苦労は分るわ、私も同じ経験を
 したのよ、と言ったとたんに相手の心が癒されてしまうことがある。
 それが親の会の人たちのもつすばらしい力である。
 ところが、相手が自分の経験にはないことに関して問題を抱えている時には、そのような力が発揮で
 きないので、何とかしなければと焦る余り、ついつい他の人の経験を持ち出してしまうことがある。
 このようなことは人のプライバシーを侵害することになるので、絶対に避けなければならない。

 また、ボランティアを組織化して活動して行くためには、コーディネートする立場の人がどうしても必要
 である。
 たとえば善かれと思ってやりすぎるボランティアにブレーキをかけたり、ボランティアが適材適所で働け
 るように配慮したりすることは容易なことではないが、とても大切なことである。』 
                
                                (上記すべての要旨に関する文責:井上)

        ラ・ファミリエ 運営委員 井上哲志